「衣装代って経費になりますか?」は、面談でいちばん多い質問のひとつです。結論から言うと、経費になるかどうかは「品目」ではなく「その支出が売上を得るために必要だったと説明できるか」で決まります。だから同じネイル代でも、人によって答えが変わります。
この記事では、実際に迷いやすい支出を一つずつ見ていきます。なお、最終的な判断は税務署と税理士のものです。ここに書くのは「考え方の型」であって、個別の申告を保証するものではありません。
まず前提:経費は「事業所得」の話
ライブ配信の収入は、継続的に行っていれば事業所得、単発・小規模なら雑所得として申告するのが一般的です。どちらでも経費は引けますが、事業所得のほうが青色申告特別控除(最大65万円)を使えるぶん有利になります。
「経費を積む」より先に、そもそもどちらで申告するかを決めてください。ここが決まらないと、経費の議論は空回りします。
迷いやすい支出、10個
1. 配信用の機材(カメラ・照明・マイク・PC)
ほぼ経費。配信にしか使わないものは全額。私用と兼用なら使用割合で按分します。
10万円以上のものは一括で経費にできず、減価償却という形で数年に分けて計上します(青色申告なら30万円未満まで一括できる特例あり)。
2. スマホ本体・通信費
按分して経費。プライベートでも使うので全額は通りません。配信時間が1日3時間で、スマホを使う時間が1日9時間なら3分の1、という説明ができれば十分です。
割合の根拠はあとから聞かれても答えられる形でメモしておいてください。「なんとなく5割」は弱いです。
3. 家賃・光熱費(自宅配信の場合)
按分して経費。よく使われるのは面積按分です。
例:家賃9万円、部屋の総面積40㎡、配信に使うスペース8㎡ → 8 ÷ 40 = 20% → 9万円 × 20% = 月1.8万円が経費
「配信に使う時間」でさらに按分する考え方もありますが、面積だけのほうが説明がシンプルです。スタジオ配信の場合、この項目は使えません(そもそも自宅を使っていないため)。
4. 衣装・コスチューム
配信専用なら経費。日常でも着られる服は否認されやすいです。判断の境目は「これを私服として着るか」。
配信でしか着ない衣装は、購入時の写真と配信のスクリーンショットを残しておくと説明が楽になります。
5. 美容院・ネイル・まつげ
いちばんグレー。一般的には「身だしなみは私生活と不可分」として否認されやすい項目です。
ただし、顔出し配信で、その施術が配信のために必要だったと説明できる場合は経費として計上している人もいます。全額ではなく一部を按分する、という形が現実的です。ここは税理士によっても見解が分かれるので、迷ったら計上しないのが安全側の判断です。
6. 事務所への手数料
AiVEの場合、この項目は発生しません。還元率60〜80%は、サイトから事務所に支払われた報酬から差し引かれた「あとの」金額がそのまま振り込まれる形なので、あなたが手数料を支払う取引は存在しません。振込手数料も同様です。
他の事務所で「手数料を引かれている」場合は、その金額が経費になります。明細が出ない事務所は、経費計上の根拠も作れないということです。
7. スタジオ利用料
発生していれば経費。AiVEのスタジオは利用料をいただいていないので、こちらも計上する取引がありません。
8. 交通費
スタジオまでの往復は経費。ICカードの履歴か、日付・区間・金額を書いたメモを残してください。
9. 書籍・セミナー・オンライン講座
配信に直接関係するものは経費。「話し方」「動画編集」などは通りやすく、一般的な自己啓発書は弱いです。
10. 飲食代
原則、経費になりません。ひとりの食事は生活費です。配信仲間との情報交換を会議費として計上するケースはありますが、相手の名前と目的の記録が必須になります。
判断に迷ったときの原則
| 迷ったら | 判断 | |---|---| | 私生活でも使うか? | 使うなら按分。全額は通らない | | 説明できるか? | 「なぜ必要だったか」を口で言えないものは計上しない | | 記録があるか? | レシート・明細・写真のどれも無いものは計上しない | | 金額が大きいか? | 大きいほど根拠を厳しく求められる |
迷ったら計上しない。あとで否認されて修正申告するより、最初から堅く出すほうが精神的にも金銭的にも楽です。
やっておくと後で楽になること
- 配信用の口座を1つ作る。生活費と混ざらないだけで、集計の手間が半分以下になります
- レシートは月ごとに封筒に放り込む。整理は後でいい。捨てないことがすべて
- 按分の根拠を1枚のメモにする(家の面積、配信スペースの面積、スマホの使用時間)。毎年使い回せます
- 報酬の明細を保存する。AiVEは週払いのたびに明細が出るので、それを保管しておけば売上の証明になります
よくある勘違い
「経費をたくさん積めば得」ではありません。 経費は「使ったお金」なので、10万円の経費を積めば手元から10万円出ています。戻ってくるのは税率分(所得税5〜10%+住民税10%なら15〜20%)だけです。
節税のために不要な買い物をするのは、いちばん損です。 経費は「事業のために使ったお金を正しく計上する」ためのもので、税金を減らすゲームではありません。
扶養と住民税の話は別記事に
「いくらまでなら扶養に入っていられるか」「住民税で会社にバレないか」は、経費とは別の論点です。こちらは確定申告と扶養の記事にまとめています。
この記事は一般的な考え方の整理であり、個別の税務判断を保証するものではありません。 金額が大きい年や、扶養・社会保険が絡む場合は、税理士か税務署の相談窓口に確認してください。AiVEでは、面談時に報酬の受け取り方と明細の形をご説明しています。



